タイ・バンコクの洪水

拡大するタイ北部・中部地域・バンコク都の洪水被害

日本のメディアでも盛んに報道されているタイの洪水被害が、非常に深刻な事態を迎えています。毎年、洪水被害が起こるタイでも、これだけ深刻な洪水被害になることは予想していなかったのではないでしょうか。

7月から続いている豪雨から、すでに先月の9月28日にタイ気象庁は、チェンマイの降雨・洪水に関する注意喚起を行っています。以来、拡大し続けている洪水被害。9月末にはタイ北中部の広い地域で河川の氾濫、土砂災害、冠水被害等が発生。洪水被害の南端はアユタヤにまで達しています。バンコクでも、チャオプラヤー川及び運河の水位が上昇し、一部の地域では冠水被害が発生しています。

以来、たびたび洪水被害に関する報道が目につくようになりましたが、「被害がある地域以外は、なんら変わらない日常を送っているだろう」と大方の方が思っていたはずです。

Bangkok 2011
Bangkok 2011 / mikiane
10月15日

ところが、いよいよ自体は深刻の度合いを深め、10月20日時点で300人以上の死者・行方不明者が出ています。アユタヤ県内及びパトゥムタニ県内では、工業団地にある日系企業がチャオプラヤー川、およびノイ川の増水により洪水被害を受け、多くの企業が操業停止という事態に陥っています

また、タイ北部・中部地域へ向かう公共の交通機関にも大きな影響が出ているため、旅行会社もアユタヤ方面へのツアーを中止しているようです。

USS Mustin provides post-flood relief in Thailand [Image 9 of 13]
USS Mustin provides post-flood relief in Thailand [Image 9 of 13] / DVIDSHUB
10月22日

10月23日の夜には、スクムパン・バンコク都知事がパトゥムタニ県ランシット地区の大量の水がバンコクに流れ込んでおり、バンコク北部で水を溢れさせ、水位が早いテンポで上昇していると説明。さらに、都が周辺状況の計測指標から状況を評価したところ、当面影響を受ける地域は、ドンムアン、ラクシー、バンケーン、ジャトゥチャック、サイマーイ、バンスー地区と指摘。これらの地域の住民は家財、自動車その他を高い場所に移すとともに、生命及び家財に危険な地区に住む住民は、都が準備する避難施設に移動して欲しいとの声明を発表しています。

下の写真は、10月23日にNASA Earth Observatoryが撮影して公開しているバンコクの衛星写真です。

Floods Swamp Historic City in Thailand
Floods Swamp Historic City in Thailand / NASA Earth Observatory

10月25日の夜、タイのインラック首相はバンコクにおける洪水被害に関してテレビで声明を発表。「タイの北部から中央部を通って大きな水の固まりが流れてきており、バンコクの内部と外部に侵入する可能性」を指摘しています。さらに、「最悪のケースとして、堤防が崩れる、又は、水位が予想を超えるような場合、バンコクは場所によって高低が異なることから、洪水の水位は10センチメートル~1.5メートルとなると見込まれる。政府は影響が最小限となるように努力するが、本日より国民も万一に備えて財産を高い場所に移して欲しい」と呼び掛けています。また、潮の関係から大潮となり水位が上昇する27~31日を臨時の休日としています。

さらにスクムパン・バンコク都知事は、10月26日の夜の記者会見で、バンコク北部のドンムアン区とチャオプラヤ川西岸のバンパラッド区の住民に対し、洪水が悪化しているとして、避難するよう呼びかけています。

また、バンコク中心部に近いラープラーオ区とその南のワントーンラーン区で洪水の危険が増しているとして、住民に対し、家財を高いところに移し、十分に警戒するよう呼びかけています。 タイの洪水は、日本人にとって“対岸の水害”というわけではありません。バンコク郊外のタイ中部には、アジアのデトロイトと呼ばれる一大工業団地があります。ホンダ、ソニーなど日系企業400社以上の工場も水没するという被害にあっており、その水がバンコクに迫っているのです。 タイ政府、そしてバンコク都庁は、北から押し寄せる水を堤防と運河でバンコクの東西に流し、中心部を守る作戦とのことですが、その洪水対策本部があるバンコク北郊のドンムアン空港自体が、10月25日、防衛線を乗り越えた水で浸水するという状況です。

さらに、バンコクの北から南に流れるチャオプラヤ川が増水と高潮で氾濫、沿岸地帯が浸水し、このままではバンコク全域が冠水しかねないという懸念が強まっています。 大潮にあたる27~31日を過ぎて水が引いたとしても、飲料水、食料などの基本的な物資に始まり、洪水による停電や通信状況の悪化も、深刻な懸念事項です。

タイの洪水被害関連情報

在タイ日本国大使館
在タイ日本国大使館の公式サイトでは、随時、タイの洪水被害関連情報が掲載されています。
@JapanEmb_Thai
また、在タイ日本国大使館は、タイ政府等が発表する洪水関連情報を引用し掲載するTwitterを開始しています。